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安らかな日々の記録
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 唯一の光源は一本の蝋燭が照らす灯り。
 簡素な室内には簡易ベッドと、蝋燭が置いてある円形テーブルがあるだけ。窓は一つもなく、重厚な鋼鉄製のドア一つが部屋から出入りできる唯一の繋ぎとなっている。もっともそのドアには十重二重にもロックが施されているので実質一番頑丈な壁と化してしまっているのだが。
 そんな室内に二人の子供が床に座っていた。
 歳は10歳。着ている服は部屋の雰囲気に合わない、気品と高級感を感じさせるシックな礼装。
 しかし欧州有数の高家に生まれた二卵双生児の兄妹は、牢獄のような部屋でも備わった高貴さは失われていなかった。
「そういえばお兄様」
 金髪碧眼の妹が向かいに座る兄に声を掛けながら、二人の間に立てられた塔の一部を引き抜く。
「なんだい?」
 銀髪紅眼の兄が引き抜く妹の挙動を笑顔で見守りながら、答える。
「もうすぐ大学も卒業ですわね。お兄様はどのような進路をお考えで?」
「そういえばそんな時期だね。面倒くさいから考えてなかったよ」
 塔の一部を引き抜き、180cm程の塔が揺ら揺らとグラつく。その様子を緊張と愉楽が交じり合った視線で見つめる兄妹。
 しかし塔は倒れない。妹はホッと胸を撫で下ろし、抜いた平べったい物体を積み重ねられた同じ物体の上に乗せる。数は19個。
「そんな考えでは駄目ですわよお兄様。その分ではレポートもろくに手をつけていないのではなくて?」
「うっ・・・。仕方ないじゃないか。あんな事を書いて何の意味があるっていうんだい? 教授だって真剣に読むわけじゃないし」
 妹が無事引き終わったので今度は兄の番。先程のグラつき方から見ていよいよ慎重に取り掛からねばなるまい。
「そういう問題ではありません。やらなければならない事はどんなに無意味で無価値でも、きちんと全うしなければなりません。それが社会というものですわ」
「お前は真面目だね。本当に僕の妹?」
「れっきと血を分けた最愛のお兄様の妹です」
 力強く、誇りすら感じられる声音で応える妹。にっこりと微笑むその笑顔は天使の如く輝かしい。
 兄は照れくさそうに赤顔を背ける。そのおかげで指先が狂い、バランスを失いつつあった塔がいよいよ崩れた。
 バラバラと大小の塊が兄妹の後に散乱する。
「あーあー。お前が変な事言うから崩れちゃったじゃないか」
「動揺したお兄様の未熟さが敗因ですわ」
 クスクス笑う妹をジト目で見ながら、兄が立ち上がる。妹もそれに習い、二人は鋼鉄製のドアの前に立った。
「そうだ。僕の進路はお前に養ってもらう路線にしよう。レポートもそんな感じでだそっと」
「お兄様ったらそんないい加減な。ーーでも悪くない未来ですわね」
「だろ? というわけでこの先の僕の人生、お前に委ねるから愛する兄のために頑張ってくれたまえ」
「それは私への愛によりますよ。ちょっとでも足りないと感じたらーー」
「その点は心配要らない。だってお前は僕がいないと生きていけないんだからね」
 兄は妹を抱き寄せ、そのサクランボの様な可愛らしい唇に口付ける。お互いに舌を絡め合い、クチャクチャとはしたない唾液の音が木霊する。
「おにい・・・・・さま・・・・・」
 妹の口から漏れるこの上ないほど倒錯しきった声。
 やがてキスが終わり、互いの唇の間に透明な糸が名残惜しそうに伸びる。
「さて。次は誰で試そうか。ていうか他に誰かいたっけ?」
「まだ使用人が3名残っている筈です。いなかったとしても私達の友人の中から選んでも楽しそうですわね」
「あ、そうだね。んじゃ適当にスティーブの奴でも呼ぼうか」
 兄妹は楽しげに十重二重に施錠されたドアを開けた。重厚な金属音がけたたましくなり、家主からの役目を果たす事ができなかったドアが開かれる。
 束の間の自由を手に入れた兄妹は楽しげに廊下を走っていく。濃厚な鉄と腐敗の臭いを漂わせながら、どこまでもーー。




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