安らかな日々の記録
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町一番のお金持ちの家に、1匹のハムスターが飼われていました。ライ麦色の美しい毛並みと愛くるしい仕草で屋敷の者皆から愛されていました。
人の背丈ほどもある広々としたお家に、乞食が羨むほどの贅沢な餌を貰って、ハムスターはなに不自由なく幸せに暮らしていました。
そんな彼を羨しく思っている2匹の夫婦ネズミがいます。街の下水で暮らしている彼らはハムスターのように毛並みが美しいわけではなく、小さくて愛嬌があるわけでもなく、生きていくために何でも食べるので町の生き物の殆どが嫌っています。
2匹の夫婦は叶わぬ事だと思いながらも、いつかハムスターのような贅沢な暮らしがしたいと願ってやみませんでした。
ある日、2匹の元に魔法使いだと名乗る人間が現れました。自分達の言葉が通じる時点で2匹は魔法使いの言葉を完全に信じました。
魔法使いは言います。
「君達の願いを叶えてあげよう」
2匹のネズミは喜びました。
もう1人の魔法使いが言います。
「ただし条件があるわ」
2匹のネズミは急かすように問いかけます。
「この町にいる君達の同類全てを殺す事だ」
「そうすればあなた達は皆から好かれて、あの屋敷で幸せに暮らせるわよ」
魔法使いは天使の如くにこやかな笑顔で提示します。
2匹のネズミはその条件に少し迷いましたが、幸せになるためならばと心を鬼にして必ずやり遂げると誓いました。
その答えに魔法使いはとても幸せそうな表情を浮かべました。
それから僅か2ヵ月後、町から2匹のネズミを除いてあらゆるネズミが死に絶えました。魔法使いとの約束どおり全て殺し尽くしたのです。その中には2匹の家族や友人、仲間などもいましたが、幸せになるために我慢しました。
これでやっと幸せになれる。心身ともに疲れ切った2匹の前に、魔法使いが現れました。
「まだ約束は果たされていないよ」
魔法使いがにこやかに述べる言葉が理解できない2匹。
説明するように別の魔法使いが述べます。
「まだ同類が1匹残っているわよ。お互いにとって同類のネズミがね」
ネズミ達は愕然としました。みんな殺せば、2匹揃って幸せになれると信じていたからです。
2匹はお願いしました。
彼女を殺す事はできない。
彼を殺す事はできない。
しかし魔法使いは聞き入れてくれませんでした。どちらかを殺さなければ、2匹は永遠と地の底で人間に追い回される運命だと述べます。変わらず楽しそうな口調で。
雌のネズミは彼を殺すぐらいならそれでも良いと言いました。
その言葉に合わせるように、雄のネズミは彼女の首筋を噛み切りました。小さな血飛沫に染まる夫の歯から、「すまない・・・」と一言呟かれます。
彼女は何かを言おうとしましたが、喉が潰れているので喋れません。死にかけの雌は最後に涙を目に浮かべて、そのまま死にました。
「おめでとう。約束だ。君の願いを叶えよう」
「さぁ言葉に出して言ってごらんなさい」
全てを切り捨て、何もなくなった1匹のネズミは呆然と答えました。
2人の魔法使いが微笑みます。ネズミも微笑ました。とても似たりよった、いびつな笑顔を・・・。
◎リガメの一言

「昨日はあえて何も言わんかったが、微妙だな」
( ゚Д゚) 「ハッピーエンドにはなったんだよ」
人の背丈ほどもある広々としたお家に、乞食が羨むほどの贅沢な餌を貰って、ハムスターはなに不自由なく幸せに暮らしていました。
そんな彼を羨しく思っている2匹の夫婦ネズミがいます。街の下水で暮らしている彼らはハムスターのように毛並みが美しいわけではなく、小さくて愛嬌があるわけでもなく、生きていくために何でも食べるので町の生き物の殆どが嫌っています。
2匹の夫婦は叶わぬ事だと思いながらも、いつかハムスターのような贅沢な暮らしがしたいと願ってやみませんでした。
ある日、2匹の元に魔法使いだと名乗る人間が現れました。自分達の言葉が通じる時点で2匹は魔法使いの言葉を完全に信じました。
魔法使いは言います。
「君達の願いを叶えてあげよう」
2匹のネズミは喜びました。
もう1人の魔法使いが言います。
「ただし条件があるわ」
2匹のネズミは急かすように問いかけます。
「この町にいる君達の同類全てを殺す事だ」
「そうすればあなた達は皆から好かれて、あの屋敷で幸せに暮らせるわよ」
魔法使いは天使の如くにこやかな笑顔で提示します。
2匹のネズミはその条件に少し迷いましたが、幸せになるためならばと心を鬼にして必ずやり遂げると誓いました。
その答えに魔法使いはとても幸せそうな表情を浮かべました。
それから僅か2ヵ月後、町から2匹のネズミを除いてあらゆるネズミが死に絶えました。魔法使いとの約束どおり全て殺し尽くしたのです。その中には2匹の家族や友人、仲間などもいましたが、幸せになるために我慢しました。
これでやっと幸せになれる。心身ともに疲れ切った2匹の前に、魔法使いが現れました。
「まだ約束は果たされていないよ」
魔法使いがにこやかに述べる言葉が理解できない2匹。
説明するように別の魔法使いが述べます。
「まだ同類が1匹残っているわよ。お互いにとって同類のネズミがね」
ネズミ達は愕然としました。みんな殺せば、2匹揃って幸せになれると信じていたからです。
2匹はお願いしました。
彼女を殺す事はできない。
彼を殺す事はできない。
しかし魔法使いは聞き入れてくれませんでした。どちらかを殺さなければ、2匹は永遠と地の底で人間に追い回される運命だと述べます。変わらず楽しそうな口調で。
雌のネズミは彼を殺すぐらいならそれでも良いと言いました。
その言葉に合わせるように、雄のネズミは彼女の首筋を噛み切りました。小さな血飛沫に染まる夫の歯から、「すまない・・・」と一言呟かれます。
彼女は何かを言おうとしましたが、喉が潰れているので喋れません。死にかけの雌は最後に涙を目に浮かべて、そのまま死にました。
「おめでとう。約束だ。君の願いを叶えよう」
「さぁ言葉に出して言ってごらんなさい」
全てを切り捨て、何もなくなった1匹のネズミは呆然と答えました。
2人の魔法使いが微笑みます。ネズミも微笑ました。とても似たりよった、いびつな笑顔を・・・。
◎リガメの一言
「昨日はあえて何も言わんかったが、微妙だな」
( ゚Д゚) 「ハッピーエンドにはなったんだよ」
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